介護職に業務効率を求めるのは無理な話さ

介護技術
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どこの介護施設も人が足りないといった話は良くあります。

 

それは「介護」に対するネガティブなイメージから応募してくる人の少なさや
他の業種と違って

「要介護度5の方で満床=最大収益」

という制約、
数年ごとに国主導の
介護保険等の見直しが行われる事から
長期計画が立てづらいといった部分など
どんどん人を雇う事に消極的にならざるを得ない条件下であるからですね。

 

あと人が足りないって言うのに
初任者研修・実務者研修を受けないと介護福祉士の資格が取れないという謎改悪が行われた事で

さっと
雀の涙程の給与しか貰えないのに資格取るのに何十万必要なんだい…

という声もありますね。

 

正直、そんなんで介護事故も減らないし
精神面が養われるとか本気で思っているのかと小一時間…

 

まあ、いいです。

 

さっと
おいおい、夜勤の人数これっぽっちなのに「アレもやれ!これもやれ!いやそれじゃない!」なんて、どんだけ無茶な事を…
職員
人員マイナスなんだから、やってもらいたいなら人入れろよ

なんて愚痴は職員間共通の話題として
盛り上がる鉄板ネタですよね?

 

私は経営学も学んでいる
…むしろそっちが本筋だったので
経営者の苦悩も察する事ができますし
実際に労務に従事しているので現場の気持ちも実感します。

 

まあ、行使共に愚痴っても
前には進まないので
しぶしぶ限られた牌で回し打ちするしかありません。

 

能率的であればいけるぞ!!

能率学において

「無理・無駄・むら」

をゼロにした状態が最も能率的と言われます。

 

つまり
すべてにおいて効率的であれば

「無理・無駄・むら」

が解消して
マイナス人員で何とかギリギリ回っている状態も
マイナス人員でも普通に回るようになり
経費を抑えることが出来て
給与も支払えるという考えです。

 

ボス
何突っ立ってるの、他のスタッフはあんなに動いているよ
ボス
利用者と会話するのも良いけど、この時間やるべき事は何?
ボス
まだ盛夏でもないのに詰所でエアコンなんて良い御身分ね、窓開ければ十分涼しいとは思わない?

なんて含蓄の効いた物言いで
ボスが凄んでくるのもその為ですね。

 

だから改善が叫ばれる

会議やミーティングの席で
「現場の改善活動」がお題としてのぼり
日夜論議されているのは
おそらくは何処の施設であっても
同じであろうと思います。

 

またそういう状況なので
怪しげなコンサルやメーカーが

「IoT機器の導入で効率的に」
「コーチングスキルやドラッカー理論で職員を効率的に管理」
「この基幹業務システムを導入すれば効率的に」

みたいな勧誘が行われます。

 

多くの場合
そんな怪しげなコンサルやメーカーに頼った所で
解決できる所は微々たるものなんですよね。

 

介護じゃないけど基幹業務システム作ってたり
顧客向けにコンサルしてた立場だった(過去形)から
正直な事言うわ、

さっと
正直、システムや機器を導入した所で改善できるのは微々たるものです。
でも、微々たるものが改善されるシステムをあの金額で売るには大風呂敷広げるしかないだろう

もちろん、機器を導入することによって
劇的に改善する場合もありますし
システムを某社のものよりインターフェイスが優れた
我々がデザインしたものの方が
効率化が図れる事もあります。

 

信じられない話
インターフェイスのセオリー無視なシステムって
結構多いんですよね。

 

基本は数パーセントでも改善するなら
売り込む理由はあるから大風呂敷ですね。

 

ただ

「コーチングスキルやドラッカーで職員を効率的に~」

というのは少々違いますけどね。

 

そもそも人員を管理するためのツールじゃないし。
人員に自らを管理させるものだしね。

 

結構こういう風にドラッカーあつかっているのが多いので注意ですね。

 

能率に話を少し戻しますが
経営者目線で見れば

「雇われている者が
全員給与に見合った仕事をこなして
時間内に終わらせていれば
無理して人を雇う必要もなければ
無駄な給与を払う必要もなく
職員間の仕事量にムラがない」

と言えます。

 

まあ、そこに消耗品を可能な限り消費しない工夫や
節電意識・省エネ意識の刷り込みも加味されますかね?

 

でも実際はそうじゃない。

 

パレートの法則やジップの法則、
スタージョンの法則などからわかるように
全職員が経営者の期待した動きをする事はありません。

 

だからミーティングや会議の席で

「現場の改善活動」

がお題に上らない日がないのです。

 

しかしその多くが
パレートの法則への逆行である事に気が付かないまま…

 

僕の考えたドリームチーム

「やる気のある人」を中心に
一生懸命、改善活動をしている事と思います。

 

現場にアイデアを出させる事で

ボス
アナタ達が言ったんだから、やりなさいよ

と言わんばかりですね。

 

アイデアは現場にたくさんあるので
実行するのに結構忙しい…

 

しかしなぜか業務や品質が改善された感じがしない。

 

しかもやる気のある人が頑張れば頑張るほど
全体として成果が出ないという
皮肉な状況となっている事の方が多いですね。

 

意識高い系
じゃあ、やる気のあるヤツだけで固めたドリームチームを作ったり、やる気のないヤツは居なかった事にして突っ走れば最強じゃない
意識高い系
出来ないヤツを鍛えて出来るようにすれば、全体としてスープアップじゃない

なんて答えが出てくるのも
何処も同じだと思います。

 

でも実際は
こんな事で解決するはずがないんですけどね。

 

パレートの法則が適用される限り…

 

介護職に業務効率を求めるのは無理な話さ

さて、ホームヘルパーなどの教科書を見ると

執筆者
介護は人と人とが密接に関わる仕事だ!
効率化を求めたりビジネスライクであることは以ての外!!

といった事が明記されているくらいです。

 

ほら、検索サイトで

「介護 効率化」

なんて検索しても
怪しげなコンサルやシステム屋のサイトしか
ヒットしませんし…

 

「こういう介助を行えば効率的」

といった記事を探そうと思うと
かなり重箱の隅をつつかないとなりませんね?

 

すなわち、すべての介護職にはそもそも

「何をもって効率的」
「どんなのが能率的」
「何が無駄である」

といった概念を与えられる機会が無いのです。

 

だからこそ
効率化を図ると言えば

意識高い系
じゃあ、やる気のあるヤツだけで固めたドリームチームを作ったり、やる気のないヤツは居なかった事にして突っ走れば最強じゃない
意識高い系
出来ないヤツを鍛えて出来るようにすれば、全体としてスープアップじゃない

なんて意見が躍るんですね。

 

 

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