昔から
「讃岐男と阿波女」
なんて言葉があります。
これは、婿を貰うなら讃岐男、嫁を貰うなら阿波女みたいな話で、非常に相性のいい関係である事とされています。
実は、讃岐男と阿波女というものは、そんなざっくりした男女関係を表す言葉じゃなくて、もっと奥深いものがあるんじゃないかと考察してみました。
日本誕生からのさだめ
わが国最古の歴史書『古事記』には、四国に関する謎かけのような記述があります。
イザナギ、イザナミが日本という国を生むくだり。
まず彼らは淡路島を生み、次に四国を生む。
「この島は、身一つにして面四つあり」と続きます。
「面ごとに名あり。
伊予の国は愛比売といい、
讃岐の国は飯依比古といい、
阿波の国は大宣都比売といい、
土佐の国は建依別」
伊予の愛比売[えひめ]は可愛らしい女。
讃岐の飯依比古[いいよりひこ]は米をつくる男的な感じ。
阿波の大宣都比売[おおげつひめ]は、豊かな産物、いわば食物を掌どる女神といった感じ。
土佐の建依別[たけよりわけ]は雄々しい男といったイメージですかね。
しかし米作りは水が必要です。
ご存知の通り、香川の年間降雨量は全国トップクラスの少なさです。
おかげでため池をガンガン作って何とか貯水していますが、それでも足りない。
それほど水がない。
一方、徳島は吉野川という表情の変化の激しい川が流れており、台風の時期には毎度洪水になるほど…
植えた米が収穫前には流されるなんて事も。
だから、米作りの際は阿波の力を借りて、またジャパンブルーでお馴染みの藍染めの原料である阿波藍など機会では讃岐の力を貸して…
よく言う、讃岐男に阿波女とは古事記にある通り、それぞれの国の性別を意味しています。
「讃岐男に阿波女」の話をすると、

じゃあ、讃岐女は?
とか言う人居るけど、そこに暮らす男女がどうだって話をしてる訳じゃないのね。
そもそも阿波・讃岐両国の関係性を表してる話なんです。
もちろん、気候・風土も反映されての言葉なので、「結婚相手を選ぶなら」みたいな話に当てはめても不都合があまり無いので、たとえ話としてよく使われる訳ですね。
阿波と讃岐は夫婦な訳。
大切な関係だからこそ
今でこそ国道11号が整備されて、フルスロットルでスーッと行き来できますが、当時はそうじゃない。
両国にまたがる大阪峠通って行き来してました。
大阪峠と言えば今ではあまり使われない、薄暗くて道幅が狭く、あまりいいイメージ無いけど、義経率いた軍勢も通った由緒ある道として廃線にならずにずっと両県に管理されています。
歴史街道にも認定されてますね。
また、徳島・香川県道一号線である事から、どれだけ両者の関係が重要であったか解ると思います。
両県ともまずいの一番に整備した県道となります。
それで、この大阪峠ってのは花嫁の道なんてロマンティックな呼ばれ方していました。
東讃エリアの方言も似ている
そのため、東讃エリアの方言は発音やイントネーションが阿波弁に近いという特徴があります。
よく讃岐弁として紹介されている言葉って、西讃エリアのが多いんですよね。
阿波の蜂須賀様と讃岐の生駒様は昔から仲が良かったですしね。
こうして、昔から阿波・讃岐は昔から夫婦の様に助け合っていましたが、この関係性こそが「讃岐男に阿波女」という言葉の真意ではないでしょうか?
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